「すまん、取り逃がしてしまった」

撃たれた左腕の治療を受けながら、倉本は頭を下げる。

「気にする事ぁないスよ倉本さん。逃がしたならまた追えばいい」

ベッドに横になったまま、巽が言った。

「それよか女医、お前倉本さんの腕しっかり診ろよ?百発百中の射撃を誇る黄金の腕だからな」

「誰に言ってるのよ、この名医に向かって」

相変わらず口喧嘩の巽と美奈。

そんな彼らに構う事なく。

「……」

どこか思い詰めたような様子で、倉本は視線を落としていた。