「それにしても…」

銀虎会の若頭が、怪訝な顔でオルロフを見る。

「こんな程度のいい銃を、何で俺らみたいなポッと出の暴力団に…しかも格安で売ってやろうなんて気になったんだ?何か裏でもあんのかよ」

「滅相もない」

オルロフは笑顔さえ浮かべた。

「ちょっと身内がヘマやらかしましてね…早急に日本を発たなきゃならなくなったんです。だから出国前に、手持ちの商品は売り尽くしておきたいと思いましてね…それに、日本のヤクザの皆さんは、今後も上得意になる…ここは一つ、我々もサービスさせて頂きませんと」

「いい心がけだな…外国人なのに、勉強させてもらおうなんて分かってやがる」

「勉強(スタディ)?何です?」

「いやいや…こっちの話だ。おい」

若頭が顎をしゃくると、傍らに立っていた組員が木箱の上に札束を2つ置く。

「釣りは要らねぇ。取っといてくれや」

「では、確かに…」

オルロフが札束に手を伸ばそうとして。