とある港の貸倉庫。

開いた木箱の中には、ベレッタM92が10挺以上入っていた。

イタリアのピエトロ・ベレッタ社が生産・販売している自動拳銃。

85年から『M9』の名称でアメリカ軍に正式採用されており、06年には45万挺が追加調達されるなど現在も現役の拳銃だ。

「ほぉ、こりゃすげぇ」

新興の暴力団、銀虎会の組員達は、その壮観な光景に思わず声を上げた。

「現在でも自動拳銃のスタンダードとされており、コピー品が多数存在するほどです。スチールスライドとアルミフレームという構造が時代遅れであるという事実は否定できませんが、それでも信頼性は随一…アメリカ軍の制式拳銃である事実からも、それは御理解頂けると思います」

職業柄、銃の造詣があるオルロフは、スラスラと流暢な日本語で組員達に説明する。