黄金色に敷き詰められた葉の絨毯。

銀杏並木の公園通り。

その幹に隠れて、巽 英二(たつみ えいじ)と向井 環(むかい たまき)はキスをした。

最初は軽いバードキス。

しかし環の方から、次第に熱の籠もった口づけを交わす。

「…おい」

巽が環の額を押さえ、軽く押し退けた。

「やり過ぎだ」

「何がですか?」

「お前アイドルだろう。しかもセーラー服のままじゃないか」

環はグラビアにテレビにと引っ張りだこの現役女子高生アイドル。

とある事件で救われて以来、巽とは親密な関係になった。

「アイドルでJKですけど、それが何か?」

悪戯っぽく巽の首に両腕を回し、甘えた瞳で彼を見上げる環。

衆目に晒される事を、これっぽっちも気にしていない顔だった。