「風流だねぇ。ケイくん、知ってたの?」
「いや、全然。びっくりしてる」ほんの少しだけの嘘に気付くことなく、彼女は興奮したまま続ける。
「だよねぇ。ね、わたし、ホタル見たことなかったんだ」
「え?」意外に思えて、僕は聞き返す。彼女がこちらを見つめ返した。
「だからね、嬉しい。ケイくんがここに連れてきてくれて、ふたりでホタル見られたのが」
うん、と頷いて、僕は彼女を抱き寄せた。いやに芝居めいた台詞を聞かなかったことにして、その晩は恋人らしく一夜を伴にした。
*
「本当は、夏からだよね?」
僕の問いかけに、彼女の表情は変わらない。ただ、僕に投げてくる視線の温度が、ほんの少しざらついて低くなる。
「いや、全然。びっくりしてる」ほんの少しだけの嘘に気付くことなく、彼女は興奮したまま続ける。
「だよねぇ。ね、わたし、ホタル見たことなかったんだ」
「え?」意外に思えて、僕は聞き返す。彼女がこちらを見つめ返した。
「だからね、嬉しい。ケイくんがここに連れてきてくれて、ふたりでホタル見られたのが」
うん、と頷いて、僕は彼女を抱き寄せた。いやに芝居めいた台詞を聞かなかったことにして、その晩は恋人らしく一夜を伴にした。
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「本当は、夏からだよね?」
僕の問いかけに、彼女の表情は変わらない。ただ、僕に投げてくる視線の温度が、ほんの少しざらついて低くなる。
