「そう、あなたが…」
そう言って先輩は私の後ろにいる田中くんに視線をすべらせた。
「話には聞いていたから気になってね」
「話、ですか」
「ええ。
私は3-A、櫻奈(おうな)っていうの」
よろしく、と差し出された手を慌てて握る
「よろしくお願いします」
「あ、そうそう。携帯貸して」
(―――携帯?)
不思議に思いながらも大人しく差し出す。
なんだろう、櫻奈さん…誰かに似ているような気がするんだけど。
悶々とそんな事を考えているうちに、手元にスマホが返ってきた。
「登録しといたからメールしてね?」
暇なときは、と付け加えてにこにこする櫻奈さん。
なんだか、不思議で――憎めない人だ。


