イラついたような口調。 それを聞かなかったことにしてさっさと歩みをすすめる。 「聞こえてんだろ」 (ええ聞こえてますよ) 「貝崎」 (仕方ないじゃない話したくないんだから) よほど険しい顔をしていたのか、隣に並んだ爽くんが、顔をのぞき込んでから小声で「大丈夫?」って声をかけてくれた。 私はそれに無言のまま頷いてみせると、「そっか」と小さな言葉が聞こえた。 「待てっつってんだろ!」 突然、ぐいっと引っ張られた私の左腕。