じゃあ俺は先に戻るね、と言って手を振ると田中くんは駆け足で走り去ってしまった。 (うそ…一緒に回れるとか) 夢みたい。 夢ならどうか、覚めないで。 「大好きです――…田中くん」 さわさわと風に揺れる木々を眺めながらぽつりと呟いてみる。 「――アイツと回るのか」 木々の音に紛れて聞こえてきた声。 振り返ると、そこには咲間 恭 がダルそうに立っていた。 それを見て顔をしかめる。 「なに、盗み聞きとか趣味悪い」 「勘違いするな。 昼寝しようとしてたら聞こえただけだ」