「あ、わかりま…じゃなくて、わかった」
「うん。美瑚ちゃん、急いでるんでしょ?
返事はまた今度でいいからね」
ああ、なんて優しいんでしょう。
少しはあいつにも見習って欲しいくらい。
「本当にごめんね爽くん」
爽くんは嫌な顔ひとつせずに、相変わらず笑顔のまま手をひらひらと振った。
ぺこりとお辞儀をしてから購買で はちみつ牛乳を買って、屋上への階段を駆け上がる。
(ほんとうに、なんて人使いの荒い…っ)
あんなの正真正銘の悪魔だ、悪魔!
心の中で毒づきながら屋上の扉を勢い良くバンッと開ける。
「咲間 恭っ、約束通りきたわよ!」
しーーん。
あ、あれ…?
(――いない?もしかして、からかわれた?)


