夏夜ってば、返事が適当すぎだよ。

体を離してジト目で夏夜を見るが、彼女はそんな私に見向くこともなく、鞄の中からスマホを取り出すと無言でいじりだす。


「…」


夏夜は相手にしてくれないし。


あーあ、テンション下がるなぁ…。

まぁどうせ相手は高月くんなんだろうけど。


あ、高月(こうづき)くんっていうのは別な学校に通う、高校1年生の夏夜の従兄弟なんだよ。

私も1度だけ会ったことあるけれど、カッコイイより可愛い系のふわふわした子。

犬でいうならポメラニアンとかかな?


「何がポメラニアンなの?」


「え?あ、なんでもないよー」


いつの間にか夏夜がスマホをいじる手を止めて頬杖をついた姿勢で見ていた。


そんな夏夜に慌てて「独り言だし、気にしないで」と言うと彼女はそれ以上聞いてこなかった。

そしてスマホいじり再開。