ふーん、と呟いた田中君。 そして次の瞬間、すっ、と視界からスマホが姿を消した。 「返して……っ」 叫んでもいっこうに返してくれる様子はない。 それどころか、あろうことか咲間と話し出したのだ。 「もしもし恭サマ? 美瑚がどこにいるか、知りたい?」 “――には、かん――……い” 少しだけ声が漏れて聞こえる。 数十秒ほどすると、通話が切れたのか田中くんが耳を離す。 そして私の顔をみてにっこりと笑みを浮かべた。 「『俺には関係ない、好きにしろ』 ……だってさ、美瑚」