(ごめんね……爽くん)


心の中でそっと謝る。


学校から数百メートル離れた所にある公園に差し掛かったとき、思い切り手を振りほどいた。


「どうしたの田中くん……
なんか様子がおかしいよっ!」


「うるさい……」


「本当に、いったい何があっ――……っ」



口元に何かが当てられる。

それがハンカチだと分かった時には既に手遅れで、呼吸が出来なくなり次第に意識が朦朧としていく。


意識が途切れる間際、田中くんが微かに笑った気がした。


(誰か……助け、て……)


そこで私の意識はふつりと途切れた。