「よし、決定!」


爽くんがふわりと優しく笑う。

それにつられて、私もほんの少しだけ笑ってしまった。


鞄を持ってくるから少し待ってて、と言った爽くんは、早足で教室に荷物を取りに向かった。


「――市瀬とどういう関係なわけ?」



突然聞こえた声にびくりと肩を震わせる。


「た、なか……くん」


ドアにもたれてこちらを見ている彼の瞳はひどく冷たくて、いつもの彼じゃない気がした。


「なんで、ここに……?」


もう帰ったんじゃなかったの?