「トモコ」




私を呼ぶ親友の声。




振り返ると、笑顔の親友がいた。




「あさか!」




「トモコ…生きて」





歩いてるのに。確かに進んでるのに。





親友の元へ、たどり着けない。






必死に手を伸ばす。その分だけ親友の姿が
遠ざかる。「何で!?どうして!?」



「トモコ、元気でね。幸せに生きて。」





「や、やだ…あさか…。」




「私を呼んじゃあだめだよ。あ、でも無理だろうなぁ。トモコ、泣き虫だもん。」





「あさか、行かないで!一緒に…!」





生きよう。…それは声にならなかった。





声が、出ない。あさか!あさか…!






「…ゼッタイ、死なないで。トモコ。」






にっこり笑うあさかの姿が遠くなる。






「バイバイ、トモコ。」









「…ぁさ…」







私の声は掠れていた。




横を向くと、あさかがいた。





あさかの白い肌が、さらに白く見えた。





ぞっとするほどの血が、あさかの身体を覆っていた。





「…ぁさ、あさか!!」






急速に溢れ出てくる記憶。






猫を追いかけて飛び出すあさか。






追いかける私。目の前にはトラック。






同時に物凄い衝撃と、舞い上がるあさかの姿。





私の身体も浮き上がって、地面に叩きつけられた。






目の前が真っ白になった。「あさか!!あさか!!しっかりして!」







私は顔を両手で覆った。涙が出てくる。






「あさか…!どうしてこんな事に…。」






あの不思議な夢の中で、あさかに別れを告げられて。





何となく。何となくだけど分かった。






それでも。助かって…。






そう祈るのは、間違っているかな?





「お願い、あさか…!生きて…!」