いちばん。

それからちゃっかりシャワーを浴びた隼人は、



毎日ちょっとずつ増えてく荷物の中から取り出したTシャツを着て、ソファの上でゴロゴロしてた。



部屋着とか、油断した姿見せられるとちょっときゅんとしちゃうんですけど…。


「沙桜?」



名前を呼ばれると、ドキッとする。



「なっ…なに?」



「明日6時に起こしてね?」



その言葉に安心するんだ。



その言葉で今日は一緒にいてくれるんだって。
今日は奈美ちゃんに会いには行かないんだねって思う。



知ってるんだ。
ふたりがまだよく会ってるってこと。



それから、奈美ちゃんと彼氏があんまりうまくいってないってことも。



一緒にいるときもたまに鳴る、奈美ちゃんのためだけの着信音。



それは付き合ってた時からずっと変わらない。



その音を聞くたびに切なくなるは、やっぱり奈美ちゃんは特別なんだって思うから。



隼人の一番はいつまでたっても奈美ちゃんなんだって、そう思うから。



奈美ちゃんの気持ちがもう一度隼人の方をむいてしまったら……あたしはどうしたらいいのかな。