静かな部屋に嗚咽にも似たあたしの泣き声だけが響いていた。



〜♪



その時タイミングよくなった携帯。



《着信 祥》



誰かに頼りたくって、涙が止まらなくって思わず通話ボタンを押した。



「……祥?」



「おう!って何?!泣いてんの?!」



「あはは…まーそんなとこ(笑)」



「いや、全然笑えないから……」



そう言って祥は心配そうにため息をつく。



「出てこれる?10分後外来て」



それだけ言うとブツっと携帯は切れた。



……拒否権ないんだね?



だけど、ふと見渡した部屋には隼人のいた形跡はまったくなくなっていて、いつもより広く感じる部屋に涙が溢れそうになった。



いつもならテレビの前で隼人が笑ってたなって、ソファーの上でゴロゴロしてたなって。



この部屋の至る所に隼人の思い出があるから。



この部屋にはひとりでいられない。



そう思って部屋を出たんだ。