いつからだろう。
沙桜を好きだと感じたのは。



いつからだろう。
沙桜を愛しく思ったのは。



「じゃあお先に!お疲れ様」



そう言って上司が部屋から出て行ったのを見届けた瞬間、ポケットにしまってあった携帯を取り出した。



無駄な残業してんなよ!早く帰りたいんだっつーの!



そうして大した操作もなくいとも簡単に開かれる携帯番号。



たいていは発信履歴の一番上にいる。



画面を確認すると俺は迷わず発信ボタンを押した。



〜♪



「もしもし?隼人?」



この声を聞くだけで、今日ムカついたことも、凹んだことも、また頑張れそうな気がするんだ。



「仕事終った!今から行く!」



それだけ言うと携帯を切った。



電話の相手は西山沙桜(ニシヤマ サオ)。俺の好きな子。