「沙桜を好きって人だっていっぱいいるんだからね!もっと周りに目を向けなよ!」
授業開始のベルと共にそう叫んで礼美はパタパタと次の授業の教室に走っていった。
だけどなんとなく授業を受ける気になれないあたしは裏庭のベンチに座った。
人気の少ない裏庭。
遠くから小さく聞こえてくる人の声になんだか落ち着く。
隼人を初めて見たのはこの場所だった。
講堂に向かう途中でいつも見かけた。
ベンチの上でいつも気持ちよさそうにお昼寝してる隼人に、
あたしは恋に落ちてた。
少し襟足の長い髪。
整った顔立ち。
すらっと長い手足。
今どきっぽい男の子。
隼人の持ってる雰囲気に惹かれたんだと思う。

