いちばん。

「じゃあ、起こしてごめんな?いってきまーす」



「ん、バイバイ」



あたしには隼人を引き止める権利もわがままを言う権利もない。



だからベッドの上から動かずに隼人を送り出した。



あたしはやっぱりガキだと思う。



大人の女ならこういう時笑って見送るの?



扉が閉まる音と同時に大粒の涙が零れ落ちた。



どれだけあたしが頑張っても、どれだけ近付けた気がしても、結局隼人は奈美ちゃんを選ぶんだよね?



あたしちょっとだけ期待してたよ?



あたしの事少しは好きでいてくれてるかもって、



奈美ちゃんの事忘れはじめてるのかなって。



ずるいよ、奈美ちゃん。



電話一本で隼人の気持ち全部持っていっちゃうんだから。