いちばん。






「……って……で?」



夜中、隼人の声で目を覚ました。



寝呆けて上手く目が開かない。



「……はや…と?」



「あ、わりぃ、起こしちゃった?」



そう言いながらあたしの髪を撫でる。
隼人の手が優しいからどうしようもなくきゅんとなる。



「あっ、ごめん、こっちの話。したら今から行くわ」



そういって、携帯電話を切った。



携帯から漏れる声で気付いてしまった。



「……奈美ちゃん?」



「あー、うん。わりぃ、俺帰るな」



少しだけ気まずそうな顔をして隼人はそれだけ言うとあたしの方なんてまともに見ないでてきぱきと準備を済ませた。



「沙桜」



「ん?」



「ワイシャツ洗っといてね?」



そういって意地悪そうに笑う。



「…ん。」



タオルケットを頭までかぶったままでそれだけいった。 



だって涙が出そうだったから。
涙バレるなんてありえないもん。