-----修学旅行2日目。






今日は各自タクシーを使っての自由行動。

というか明日もそうなんだけどね。






もちろん班はさっちゃんと一緒!





でも








「じゃあ早速行きますか!」

「そうだね、行こうか。」

「…うん。」

「…せやな。」






班長、さっちゃん
副班、斎藤くん
班員、私とハタ


あぁ神様お助けを…





(この班に決まった時は嬉しかったのに…。)





今は何かもう
ハタと顔を合わせたくない。







「2人とも元気なさすぎ。
せっかくの修学旅行なのに勿体無いよ!」

「う、うん。そうだねごめん。
いぇーい!楽しもー!……。」






…ごめんなさいさっちゃん。

やっぱり無理です。







「まぁとりあえずタクシーに乗って
最初の場所に向かおうか。」

「…そーやな。行こ行こ。」





ハタも私と同じように
さほど上がらないテンションのまま

タクシーに乗り込んで行動を開始する。



さっちゃんが前の助手席に乗って
後ろでは斎藤くんを挟んで私達は両側に座る。




ハタも私も終始窓の方を皆がら無言。

さっちゃんは斎藤くんとお喋りをして過ごしていた。




(2人にとっても大事な思い出になるのに…これじゃぶち壊しだよね、ごめん。)






心で謝り
私は2人のためにも
この落ち込んだ気分を繕うことにした。



というより




今は無理やりにでも笑っていないと
精神的にも辛かった。





(…全部嘘だったなんて)





知ってしまったらそれは
大きな傷になってしまって。






「…なぁ小林。どのくらいで着くん?」

「んー、多分あと20分くらい?」

「そうか。了解。」






ハタは皆とは普通に話すものの
やっぱりテンションはそのまま。


まぁ無理に上げろとも言わないけど

この様子でさっちゃんが変に気づいてしまったらどうしよう、と
内心ヒヤッとした。






(…さっちゃんは、ハタが好き。)






そしてさっちゃんは
ハタが私を好きだと…多分察してる。



だから昨日


私にあれ以上何も言わなかったんだと思う。





きっと部屋に入る前の顔は

それを気付いてて部屋が隣っていうのが
正直辛かったんだと思う。




そんな中で私があの後
告白されたなんて知ったら…





それこそさっちゃんの思い出も
台無しになってしまう。



それだけは絶対に嫌だった。






「写真撮ろう!はい、チーズ!」






だから出来るだけ普通に
いつも通りに一日を過ごした。


正直、どんなものを見て
どんな話をしたのかよく覚えてない。

私は普通に笑って会話することで
一生懸命だった。






そうしてまた
一日が終わる。