「……ふぅ…。」
落ち着いた頃に深呼吸をして
ごめんね、と圭斗に言う。
「いや……それで、どうした。」
「………。」
圭斗の落ち着いた声に
私は何て答えたらいいか分からなかった。
…いや
正直に言っていいのか迷ったのだ。
(ハタに告白されたなんて…言ったら…。)
圭斗は怒るんじゃないかな。
もうあいつと関わるな、とか
だから言っただろ、って言われそう。
『へぇ…でも相手はもしかしたら
ユカリのこと好きなのかもよ？』
思えば
そんなことをあの日にも言われていた。
圭斗の…言う通りだった。
でもまさかこんなことが本当に起こるなんて…。
「何があったか知らねぇけど…大丈夫だから。何かあっても、どうにかなる。」
「……！」
「人生そーなってんの。
…だから心配すんな。何とかなる。」
絶対に。
圭斗が優しく、そう言う。
「…うん、ありがとう…。」
「ん。…元気出せよ。」
圭斗は私が話さないのを怒ることなく
そう言って慰めてくれた。
…本当に、ありがとう。
正直に言えなくて…ごめんね。
「…圭斗。」
「ん？」
「…大好き。」
「！」
私が思ったことを率直に伝えると
圭斗は驚いたのか
何も言葉を発さずに黙っていた。
(……あれ…？)
圭斗…？
「…おいユカリ。」
「ん？」
「お前…本当そーゆーの反則だってわかってる？」
拗ねてるのか喜んでいるのか
わからない優しい様子で
私にそう言う圭斗。
私が え？ と言うと
やっぱな…と圭斗が軽くため息を吐く。
「…そーゆーこと言われると会いたくなんだけど。」
「へ…。」
「キスしたくて抱きしめたくて堪らないんですけど。どーしてくれるんすか。」
今度は甘く
拗ねた口ぶりで私にそう言う。
-------ドキッドキッ
その言葉を聞いただけで
私の胸がドキドキと鳴る。
先ほどまで不安で悲しい気持ちで一杯だったのに
こうして少し話しただけで
その一言で
私の胸が幸せ一杯に包まれるのを感じる。
(あぁやっぱり…)
私、圭斗が好き。
圭斗じゃなきゃ、ダメみたい…。
「…私も会いたいよ。」
「……ユカリ、帰ったら覚えとけよ？」
---覚悟して帰ってこい。
そう言った圭斗の甘い声が
電話越しだったけど
ずっと耳元に残っていた。
