(……嘘だ。)
ずっと
私のことを好きなんて…嘘だよ。
だって今まで
誰の相談をしてきたの…?
あれも全部嘘だなんて
本当に言ってるの…?
「………ユカリ。」
「っ!!」
苦しそうな瞳が
私を捉えていた。
-------ドキンッ!
その目が
どこか熱を持っていて
真剣なのが伝わってくる。
私はこの目を
圭斗から、されたのを覚えてる。
(-------本気だ。)
嫌でも伝わってくる
私の腕を押さえつけるハタの手
見下ろす瞳
体に触れている、足
熱を持っているのは
嫌でも伝わってくるのだ。
「……何でや…
何で俺やなくて、濱崎さんなん…?」
「っ……!!」
「一緒に住んでるから?
黒髪短髪で厳つめで…
俺もあのくらいオーラあれば、揺らいでくれるんか?」
悔しそうに口を結びながら
私に訴えてくるハタ。
私はそんなハタに
声が出なかった。
でもね、違うんだよ。
ハタが黒髪にしようが
厳つくなろうがオーラつこうが
一緒に住もうが…違うの。
私は---
『俺さ、下に妹いんだよ。』
『あ…そうなんですか。』
『そう、だから何かこういうの久しぶりで懐かしくなっちゃってさ。』
…あの日出会って
あの時私に笑いかけてくれた濱崎さんが
あの優しそうな笑顔を私に向けてくれた彼が…
圭斗じゃないと、ダメなの---。
「……ごめん、ハタ。」
「っ!!」
「私は…濱崎さんが好きなの。
他の人じゃ…ダメなの。」
ごめん…
そう告げると
ハタは瞳を揺らしながら
静かに黙って
そして私の腕を離して
私の上から退いた。
「………俺、諦めへんから。」
「…!」
「濱崎さんには…負けへん。」
ハタはそう言って
私に背を向けた。
そしてそれと同時に
ガチャッと音がして、部屋に2人が戻ってくる。
「ごめん、もういっそお菓子たくさん買っていっちゃえって選んでて……
2人とも、どうかした?」
部屋に戻ってきたさっちゃんが
たくさんお菓子をかかえながら
私とハタを交互に見る。
プルルルルル〜♪
それと同じくして
私の携帯が鳴る。
表示は
" 濱崎圭斗 "。
「…ごめん、私電話してくるね!」
「え。あぁ、うん…いってらっしゃい…。」
さっちゃんと斎藤くんに断って
部屋を出る。
自分の部屋に戻って
私は通話ボタンを押した。
「---もしもし?」
電話越しに聞こえた声は
いつもの圭斗の声で
私はその声に安心したのか
ポロポロと目から涙がこぼれ落ちる。
「…っ、うぅ…っ。」
「-----ユカリ…?」
電話越しの圭斗は
私の声に驚いて、静かに私の名前を呼ぶ。
「どうした?何があった?」
「っ…ごめっ…!」
それでも涙が止まらなくて
私は言葉にならない声で泣いた。
その間圭斗は私が落ち着くまで
黙って待っていてくれた。