午前4時半。

外はまだ薄暗い中
私は大きなキャリーバッグを部屋からガラガラと押して
玄関までやってきた。


集合場所まで2時間かかるので
今日はこんなに早起き。






「…本当に忘れ物ねぇよな?」

「うん、大丈夫!」

「…携帯と財布は?」

「持った!」

「弁当…はいらねぇか。
充電器と保険証と着替えとあと…。」

「もう!大丈夫だってば!
昨日ちゃんと確認したもん!」






いつもより2時間も早く家を出発するというのに
圭斗はそんなに心配だったのか
私よりも早く起きていた。


そしていざ出るという時にこれ。

もう、そんなに心配しなくても大丈夫だってば。





「3泊4日だし、何か忘れてもどうにかなるよ。」






さっちゃんもいるし、と私が言えば
圭斗は眉間にしわを寄せながら
でもなぁ…と頬をかく。

こういうところはお兄さんらしくて
心配性だなぁなんて思う。





「じゃあ、行ってくるね。」





そう言って靴を履いて
圭斗に向き直る。

すると





「んっ!」





-----チュッ

と音を立てて
不意にキスをされた。

そしてそのまま抱き締められる。





「怪我しねぇように気をつけろな。
…あと、浮気すんなよ。」

「っ!し、しないよ!!」





と、顔を赤くしながらハッキリ言えば
ははっと笑いながらぎゅっと1度強く抱き締め
圭斗は体を離す。





「…じゃ、いってらっしゃい。」

「うん…行ってきます。」





こうして
私たちは同居後初めての"離れ"を経験することに---。