(ふ、不意にこういうことやってくる圭斗も反則…!!)





私は椅子に座って顔を俯かせた。

顔が赤いのバレバレだけど
やっぱり恥ずかしいし慣れない…!






「…そういえば、あの子何か言ってた?」

「え?」





あの子?





「秦山くん。」

「え、ハタ?
…いや、何も言ってなかったよ?」





あ、でも
ええ彼氏やんけ
とは言われたなぁ。

そう思いながらもそれは圭斗には言わず
何で?と聞き返す。






「ユカリの "首" 見てビックリしてたから。俺らの関係まだ言ってなかったのかと思って。」

「首?」





首見てびっくしたって…??






「何で私の首見てハタがびっくりす---」





るの?

と続けようとした時
頭にポンッと記憶がフラッシュバックする








『…今は、もう止められない。』







(あっ---------?!)





私は思わずまた顔を赤くして
首をバッと抑える。


そ、そうだ私
あの時圭斗に首を噛まれて…!!






キスマークをつけられているのをすっかり忘れていて
絆創膏も付けずに学校に行っていたのだ。

幸い髪を下ろしていたので
それで隠れていたけど…



ゴミ付いてるって言って
圭斗が髪の毛退けたから、ハタにちょうど見えたんだ。





(だからハタ変な顔して…!!)






眉がピクッと動いたのはそのせいだったらしい。







「わぁ何てことを…!!」






恥ずかしい!!と顔を押さえていると
圭斗が小さく笑う。







「いや、ちょうど良かったよ。」

「え…。」

「良い"威嚇"になっただろうから。」






食事を終えて
机に肘を起きながらニヤッと笑う圭斗。



威嚇って…
何でハタに威嚇しなきゃいけないのよ!




(明日からハタにどんな顔して会えばいいか…。)






「……ユカリって本当鈍感だよな。」

「鈍感じゃないよ。」

「気づいてないところがまた鈍感。」






小さく笑いながら
ごちそうさま、と言って食器を片付ける圭斗。



何、どこが鈍感っていうの?
どっちかっていうと敏感な方だと思うんだけど…。





「これで当分変な虫が付くことはないだろうね。」

「変な虫?」

「…ユカリは分からなくていいか。」





………?