コウキの言ってることは当たっていて
正直俺自身も余裕があるわけじゃない。



…俺も男だ。


前から思い続けて
半年かけてやっと叶った相手に

欲望をぶつけたいのは当前。




だがしかし

そういうわけにもいかない。






「あいつを見ると…どうも止まんねぇんだよ。」






無防備に可愛い顔して
俺に近づいてくる。

-----俺の気も知らないで…






「ユカリちゃん純粋そうだからなぁ。
…無意識に煽られてるお前の気持ちも想像できる。」





-----まさに昨日のことだと俺は思った。


もちろん、そんなことはコウキに伝えないが。






「手が早いお前が
こんな我慢してたことに俺はビックリだよ。」





本命には本当に手って出せないもんなんだな。



とコウキは独り言のように呟く。


コウキもコウキで遊び人だからな。
こいつもまた
本命に出会う前の男だったりする。



…って

何で俺そんなやつに相談してんだろ。






「お前本命出来たことないんじゃ話になんねぇじゃねぇか。」

「まぁまぁ…そう言うなって。
客観的な意見なら俺にだって答えられる。」





そう言って少し黙って考えるコウキ。

俺はサービスでもらった
ウーロン茶に口をつけながら
言葉を待つ。




(…昨日やっちまったしな。)





でこチューで止めた自分が奇跡。


…本当はもっとゆっくり進めてやろうとか、思ってたのに。

あいつのあの顔のせいで…
全部台無しだった。






「気持ちに従って進めるのもアリだけど
まだ急かすことは…ないと思うぞ。」





特に女の子は
初めてのことはゆっくり進めた方が

安心できていいんじゃねぇの?




そう言って少し微笑んで
コウキはお店のグラスを拭き始める。




…そうだよな。

我慢しすぎることもねぇけど
急かすことはしないでおきたい。

それは俺の望みでもあるしな。





(…でももし次
また可愛い顔をされた時)






俺は一体どう体を止めればいいんだ。