「あの、濱崎さん…。」

「ん?」





リビングに戻れば

夕飯を作りながら
台所に立っている濱崎さんが
こちらを見ながら返事をした。





「部屋に家具が何もなくて…。」

「あ〜…、確か明日の朝届くとか言ってた気がするなぁ。
……あ、そうかベッド無いから寝れねぇのか。」






と、私の言葉で察してくれたらしく
濱崎さんは一旦火を止めて
辺りを見渡した。



そして少ししてから





「じゃあ今日は俺の部屋で寝てもらっていい?」




一応ベッドあるし、汚ぇけど。
と聞いてきた。

私は慌てて口を開いた。





「でも、そしたら濱崎さんどこに寝るんですか…?」

「俺はソファで寝るからいいよ。
どうせ朝引っ越し屋来るから起きやすいし。」




気にしなくていいよと言う濱崎さんの顔は優しくて。
無表情だけどその優しさが伝わってきた。

私は濱崎さんにお礼を言って、頭を下げた。




そして自分の部屋に戻って
荷物の整理をすることにした。





(濱崎さんって見た目怖いけど
やっぱりいい人だったなぁ…。)





と思いながら
私は明日着る制服や学校の準備をする。



明日はここから登校だから
いつもより少し近いのかな…。

朝が少し楽になることに安堵する。







「濱崎さん、先にお風呂入っても大丈夫ですか…?」





少し経ってからリビングに行けば
夕飯を食べている濱崎さんがいた。

私が話しかければ
見ていたテレビからこちらに目を向けて
食べ物を飲み込んでから立ち上がった。



こちらに向かってくる濱崎さんに目を向けていれば
濱崎さんが口を開く。





「ん、いいよ全然。
風呂場こっち。」




と案内をしてくれて
ここにタオルがあってここには〜
どうのこうのと色々と説明もしてくれた。





「何か困ったら呼んでくれれば行くから。」





と言い残して
夕飯の続きを食べに部屋を出て行く濱崎さん。

私はそのままお風呂を浴びた。