(……………ん…。)
……あれ…?
誰かに優しく触られてる感じがする…。
大きい手…
…触られるのが…気持ちいい…。
「…………ん…。」
…あ、そうだ…私あのまま寝て…。
頭がまだぼんやりして
体を起こしてしばらくボーッとする。
…あれ?
私布団なんて掛けてたっけ?
変だなぁと思いながら
少ししてからベッドから降り
部屋の時計を見る。
(………え、もうすぐ9時?!)
私夕飯も食べてないし
何時間も寝ちゃってた!!
わーー早くお風呂入ってご飯食べよ!!
そう思って髪の毛を軽く手ぐしで整えながら部屋を出る。
そしてリビングへ行くと
「…あ、起きてきた。」
「あ…濱崎さん!」
濱崎さん帰ってきてたんだ…。
しかも仕事で疲れてるのに
ちゃんと料理を作って机の上に
ラップをして待っていたらしく。
遅くなってごめんなさい、と謝りながら
椅子に座る。
「いただきます!」
「はい、どーぞ。」
食事を始めれば濱崎さんは
それをじーっと見るように黙った。
……何か恥ずかしい。
「…あの…濱崎さん?」
「ん?」
「そんなに見られると恥ずかしい…です。」
「あー、悪い悪い。
何か今日…あったんじゃないかと思って。」
-------!
私は濱崎さんの言葉に
動かしていた手を止めた。
いや、止まった。
それと同時に
ボーッとした頭が忘れていた
ハタの件がポンッと出てくる。
(……どうして、分かったんだろう。)
私の動きが止まっているのを
図星だったと捉えた濱崎さんは
やっぱり、と言うように
少し眉間にシワを寄せた。
「…どうした。」
「……あ…えっと…。」
私が言葉を詰まらせて
言うのを躊躇っていると
濱崎さんがさらに冷静なトーンで私に言う。
「-----言えよ。」
(-------っ。)
私はこの声に弱い。
この声が、言葉が
あまりにも力強さを感じて
甘えてしまいたくなる。
(でも…話すわけにはいかないよ。)
ハタのことでこの前怒られたばかりだもん。
濱崎さんには…言わない。
「…はは、定期テストの心配してただけですよ。
修学旅行明けたらすぐだし、
今から少しやっておかないとなぁって。」
そう言って軽く笑って
食事を再開する。
しかし濱崎さんは納得いかない
というような様子で
本当にそれだけか?
とか
溜め込むなよ?
とか
…そんな優しい言葉をかけてくれた。
(……嘘ついて、ごめんなさい。)
でもそんなに大したことじゃないし
きっと大丈夫だから…
心配しないで大丈夫ですよ。
そう心の中で謝りながら
私は濱崎さんに
ありがとうございます。
と返事を返す。

