でも会ってみたらびっくりだった。



まさかこんなに厳つくて感情の読めない人だなんて思わなかったから。

悪い人ではなさそうだけど
なんだか少し怖いというのが本音。





リビングに入れば
物は必要最低限揃っていて
綺麗に整理されていた。

適当にソファに腰をかければ
そのタイミングと同じく
濱崎さんが部屋に戻ってきた。

そしてすぐに私を見て




「坂田さんの娘さんでしょ?」




と尋ねてきた。

坂田というのは私の苗字で
彼の言う坂田さんとは、多分私のお父さんのことだと思う。






「はい、そうです。」

「名前は?」

「ユカリです。」

「ユカリね、了解。
知ってると思うけど、俺は濱崎圭斗って名前だから。」





好きなように呼んで
と言われて返事をする。

話す口調は思ったよりも優しくて
無口、というわけではないらしい。




「夕飯は?」

「あ、食べてきました。」

「そ。
あ、部屋はリビング出てある右側の部屋ね。俺はその向かいの左側だから。」





と部屋の説明をされ
自分は今から夕飯作って食べるから
好きなように過ごしてていいよ、と言われた。

私は返事をして
説明された自分の部屋に向かった。



------ガチャッ




(…あ…何もない…。)






もともと使っていなかったのか、
それとも全部移動させてくれたのか
部屋には何の家具も置かれていなかった。

ここが私の部屋かぁ…と辺りを見渡す。




何もない部屋を見るのは
自分が住んでいたあの家に引っ越してきた時以来だった。




(あれ、でもそしたら私どこで寝るんだろう。)





着替えやら学校の制服や持ち物やらは
最低限自分の手荷物で持ってきたけど

ベッドやらの家具なんかは
まだ家に置きっ放しであった。



お母さんが大丈夫大丈夫って言ってたけど…
本当に大丈夫なのかな。


と少し心配になる。





私は戻ってリビングにいる濱崎さんのところに向かった。