ハタの言葉に甘えて、送ってもらっている。
それに、もともと地元がそこまで遠いわけでもなかった。
「ハタってその子のこと好きになる前は
彼女とかいたの?」
歩きながらそんなことを質問する。
さっきハタがモテる理由を改めて再確認したところで
それに気付いた女子がこんなイケメンを放っておくわけがない、と思ったから。
好きな人ができたのは今年に入ってだし
去年はどんなだったか私は聞いていなかった。
「あー…まぁ一応な。」
「あ、やっぱりそうなんだ!」
(さすが秦山祥一。放っておかれてるわけないですよね〜。)
と心でまた納得。
私がもし濱崎さんと出会ってなかったら
ハタのこと多分好きになってたんじゃないかなぁって思うもん。
そのくらいいい人だってことは親友として自覚済み。
「でも、俺その子のこと多分前々から気になってはいたんやと思うねん。」
と言うハタ。
そりゃあんな美人と中学一緒で
高校も一緒なんて気にならないはずないよね。
私がハタの立場だったら
え、これちょっと運命じゃね?
とか思う気がするもん。
「だから彼女できても、何かその子のことずっと引きずってたっていうか…
それでいつも別れてしもうてたんや。」
「…ってことは高校入ってずっとその子に片思いしてたってことかな?」
「多分なぁ。その子が今までで1番好きやし。」
とサラッと言うハタ。
この潔さもまた正直で
ハタのいいところだと思う。
こんなに思われてるさっちゃんって
やっぱり幸せ者だよ。
2人がうまく行くように
私も影からサポートしなきゃ。
「ユカリは…今まで彼氏は?」
「いないよー。全然恋愛に興味とかなかったし。」
だから私にとって
濱崎さんは初恋の人。
デートも、濱崎さんが初めて。
だから私にとって
今までで濱崎さんが1番好きな人。
「そうか。
…俺らお互い一途者やなぁ。
誠実コンビやん。」
「ははっ。そうだね、誠実コンビだよ。」
と私が笑うと、ハタも笑った。
私たちはあともう少しで家に着く…
というところで
向こうから来る人に気付いた。
(----------あ。)
その人というのは
濱崎さんだった。
「濱崎さん…。」
「ん?…あ、ホンマや。濱崎さんや。」
昨日以来に見た濱崎さんに気付いたハタ。
段々とマンションの前に近づいてきたところで
濱崎さんも私達に気づいた様子で…
「-------!
ユカリ……?」
マンションの前にお互いついた時に
濱崎さんが立ち止まって私達を見た。
「濱崎さん…。
あ、えっと、遅くなってごめんなさい…!」
ご飯食べてたら遅くなっちゃって…
と説明すると
濱崎さんは黙って私越しにハタを見た。
ハタもその視線に気付いて
濱崎さんに挨拶をした。
「こんばんわ。ユカリと同じクラスの秦山祥一です。
今日遅くなってしまってすいません。」
ハタが軽く頭を下げると
濱崎さんは軽く「あぁ、ユカリがいつもお世話になってます。」
と言葉を返した。
でもその声はどこか感情がこもっていなくて。
私の親ならきっと
わざわざ送ってくれてありがとう、とか
言うだろう。
しかし濱崎さんはそれっきり
軽く会釈をしただけで
そのままマンションの中に入って行ってしまった。
私は濱崎さんの様子が何処かおかしい気がしながらも
後を追いかけるように
「ハタ、わざわざ送ってくれてありがとう!帰り気をつけてね!また明日!」
と言ってハタにバイバイをしてマンションの中に入った。

