嫉妬深い狼と同棲生活?!






1ヶ月前

急に両親の転勤が決まった。
それも海外に。

両親は共働きで
仕事場も同じだった。

何と働いている会社が近々海外に支店を出すらしく
その派遣社員というかスターティングメンバーというか
そのプロジェクトに選ばれてしまったらしい。



すでに高校に入学していた私は
これから転校するわけにもいかず
どうしようかと両親が悩んでいた。



そんな時に出たのがこの"彼"の名前だった。







「濱崎圭斗(はまさき けいと)さん…?」

「そう、覚えてない?
去年お婆ちゃんのお葬式の時に挨拶行ったじゃない。」





背が高くて若いお兄さんいたでしょう?

とお母さんから説明があったけれど
全くというほどに覚えがなかった。


濱崎という苗字からして
私達の家系の人物ではないらしい。


聞いてみれば

お婆ちゃんの同級生の孫らしく
家族ぐるみで仲が良かったから
よくお婆ちゃんとも面識があったのだとか。





「その人がどうしたの?」





と尋ねれば

お母さんは嬉しそうに笑顔で
私に言った。





「その濱崎さんの孫が、東京に今住んでるんですって。
確認したら一緒に住ませてもらっても構わないって言ってくれたみたいで。」



歳もそんなに離れてないから話しやすいだろうし、お願いしようと思ってるんだけどどう?

と聞かれ
私は黙ってしまった。



そもそもその濱崎さんを知らないから
どうって言われても何とも言えないなぁ…と思いながら

お母さんが頼むくらいだから
悪い人ではないだろうと考えて
私はいいよ、と返事をした。






(それに私は選ぶ立場じゃないしなぁ…。)





なるようになればいいか、と
少し軽く考えていたのだ、1ヶ月前は。