学校に着くあと数十メートルというところで

私は後ろから誰かが迫ってくる予感がして、後ろを振り返った。


すると






「「ユゥ〜カァ〜リィィイイ!!!」」



「い…いやぁぁぁああ!!?」






ひどく寝不足だった体が
この恐怖で一気に覚める。

そしてなぜか私はそれから逃げるように校舎まで全力ダッシュした。

私の名前を叫びながら迫ってくる長身2人。



いや、誰かは分かってるけど…

朝から怖すぎるよ!!!!






(な、何?!何で叫んでるの?!)





2人とも落ち着いてーーー!!と
心の中で叫びながら下駄箱まで猛ダッシュ。

下駄箱に着いて肩で息を吸っていれば
後ろから同じく猛ダッシュでやってきた2人が

勢い良く私にぶつかってきた。



…いや、これ抱きついたのかな。
でも何か張り倒された気分…。






「いてっ!
…あ、朝から怖いよ2人とも…。」

「はぁ、はぁ…。だって、昨日から、何も、連絡、ないから…!」

「お、俺らも、気に、なってたんよ…!」





3人で下駄箱で息を荒くしながら会話してる姿が
何とも言えないくらい奇妙で。

とりあえず深呼吸をして
息を整える。





「…で、どないやった昨日は。」

「成功だったの?失敗だったの?」





と落ち着いてから
真顔で聞いてくるハタとさっちゃん。


私は靴を履き替えながら答えた。





「へへ…成功だよ!」

「おぉ〜!良かったなぁ!」

「本当良かったチケットあげた甲斐があったよ〜!」




と安堵したように胸を撫で下ろすさっちゃん。

ハタも笑ってくれていた。





(まぁ、嘘じゃないしね…。)





詳しくは話してないけど
まぁ全部まとめれば
結果オーライっていうか…良かった…ような…そうでなかったような…。



と、少し罪悪感に駆られながらも笑ってすごす。





「あれ、っていうか今日2人が一緒に来るなんて珍しくない?」




私はふとそのことに気がついた。

地元は同じでも
ハタはいつも私より全然早く来るし
さっちゃんに関しては私より遅く来る。

そんな2人が私と同じ時間に登校なんて
珍しいなぁと思った。


ハタがさっちゃんのお迎えしたとか?
やっぱりハタってさっちゃんのこと…?


なんて2人の様子を見守るように見ていると





「小林がいつもより早く起きたんや。」

「私はユカリが心配で…。
そういえば何でハタ遅いのよ。いつもより遅いじゃない。」

「俺は……その…。」





とハタがさっちゃんの言葉に口ごもる。


---やっぱり。

どうやらハタはさっちゃんのことが好きらしい。
この様子を見るに、さっちゃんの出待ちといったところか。

やっぱりハタはさっちゃんのことでいつも悩んでたんだなぁ…。




なんて考えながら2人のやり取りを見ていた。




(でもハタ、さっちゃんは手強いよ…。)



頑張れ!と心の中でハタにエールを送る。





「………はぁ。」





さっちゃんと言いあった後、ハタがため息を漏らした。

私はそれを聞き逃さなかった。