「…み、皆に見られちゃったね…。」

「あぁ…皆見てたな。」





車で帰りながら

先ほどの空港での出来事を振り返る。




あの時は嬉しくて周りが見えなかったけど

キスの後にハッとして周りを見れば
プロポーズを聞いていたのだろうと思われる周りの人から

ニヤニヤとした表情で見られていた。





「うぅ…恥ずかしい。」

「まぁ別にまた会う人たちってわけでもないし、気にしなくていいだろ。」





と圭斗はあっさりとしていて
気にしていない様子だった。


(で、でも……!)





「…そういや、昨日アリサと何話したんだよ?」





朝アリサが
すげぇ楽しかったとか何とか言ってたから
気になんだけど、と圭斗に言われる。




(え………いやでも
圭斗が言ってたことをアリサさんから聞いたなんて…)




…口が裂けても言えない。


言うのも恥ずかしいし

言ったらアリサさんがどうなるか…。



なんて色々考えて黙っていると

圭斗が怪しんで、何だよ?と眉間にしわを寄せる。






「え、あ、いや!
ちょっと相談に乗ってもらったっていうか…!」





と口を開いたと同時に

あ、しまった と思った。



圭斗を見れば
やはり眉間にしわを寄せていて…


拗ねた様子で
私を見て言った。





「何で…
俺じゃなくてあいつに相談すんだよ。」





(え……。)





私はきっと
俺に心配するようなことでもあんのか?
とでも言われるのかと思い

へ、と気が抜けた。




(ねぇそれって…嫉妬?)





アリサさんにも嫉妬してるんだ?




そう思えばちょっと可愛くて

私がそれにクスクスと笑っていると
圭斗が気にくわないと言うような顔で
私に言う。






「…んだよ、笑うな。
そういう悪ガキには…お仕置きが必要だな?」





-------ピクッ




『お仕置き』という言葉に
私はギョッとして
笑うのをやめてチラッと圭斗を見る。




(-------っ!)




ニヤっと笑って
悪い笑みを浮かべた圭斗の顔が、そこにはあって。


そんな時にちょうど信号が赤に変わる。



車を止めると同時に
圭斗が顔を逸らした私に言う。





「……なぁ、こっち向けよ。」






静かに
でも真剣味を帯びたその声に

私は従わずにはいられなくて---。






……チュッ






「家に帰ったら…覚えてろよ?」






彼のその言葉が
すぐに現実になったのは

2人だけの秘密---。















END