そしてその1時間後---






「午後の便にしといてよかったー!!
何で起こしてくれなかったの圭ちゃん!」

「はぁ?だってそんなん聞いてなかったんだから仕方ねぇだろ。」





高速で支度をしながら
ガーガーと兄妹で喧嘩する2人。


私も支度をしながらそれを見守る。



アリサさんがいると
一気に家族感が増すというか

家が明るくなってる気がする。






「…何ニヤニヤ見てんだよ。」

「え?」





圭斗が私の顔を見て、そう言う。

何でもないよと言うが
気に食わないとでも言うように

フニッと私の頬を片手で引っ張る。





「へ、へいほ!(け、圭斗!)」

「…俺意外にそういう顔見せんな。」





へ…。



私がその言葉にポカンとしていると

照れ臭そうに赤く拗ねた顔で
プイッとそっぽを向く。




(え、今の…可愛い…。)




久々に見た可愛い表情をした圭斗に
思わず私も照れる。


ヤキモチ妬きなんだから圭斗は…。



でもそれが嬉しいのも 事実です。






「なぁにー?朝から見せつけですかー?」

「あ、アリサさん!」

「妹に嫉妬とかどうなの圭ちゃーん?」

「っ…るせぇな、早く出ろ!行くぞ!」





さすがに妹に言われるのは恥ずかしいのか
圭斗は出ろ出ろ!とアリサさんを外に出して
自分も車の鍵を持って靴を履く。





「…ユカリ。」

「ん?」




-------チュッ





「っ〜〜〜?!」

「4日お預けされたバツ。」





そう言って不意打ちにキスをされて
思わず顔を赤くする。

してやったりな圭斗は
ニヤッと得意げに笑いながら
ほら行くぞ、と私の手を引く。




(あぁもう…本当に)






この人には敵わない…。