「………俺、諦めへんから。」

「…!」

「濱崎さんには…負けへん。」






ホンマはこう言った時に
泣いてしまいたかった。




あぁ
俺自分から振られに行ってしまったんや。

俺は完全にフラれた。

この長い片想いも…もう終わりやな。







そう思いながら
後ろの方でユカリが部屋を出て行く音を聞いた。



ぎゅっと拳をつくった。






「…秦山、どうしたの…?」






買い出しから戻ってきた小林が
俺に尋ねる。


…ごめんな、わざわざ買いに行かせたのに
もう一緒にゲームも何も…出来へんわ。






「悪いなぁ2人とも。
…ユカリと喧嘩してしまったわ。」

「………!」






振り返って笑いながら2人にそう言う。


…口に出してはおらんけど
顔見てればわかる。

2人共
俺の言葉でここで何が起きたか把握したな。





「…ハタ。」

「斎藤、ええねん。
俺は大丈夫やから…気にせんといて。」





…明日自由行動なのに
気まずいわなぁ。

ごめんな2人共。



そう言って謝れば
2人は大丈夫だよ、と言ってくれた。





そして少ししてから小林は部屋に戻って
斎藤と2人になる。






「…大丈夫じゃねぇな。」

「……せやなぁ、痛いわ…。」





割と

てか結構 痛い。






「何で言ってしまったんやろって思うけど…
止まらなかったんやから
仕方ないなぁとも思うねん。」

「………。」

「…俺のが先に…
ずっとあいつを見てきたのになぁ。」






残酷やわ





そう言った俺の言葉に

斎藤は何も言わずに
ただ俺の話を聞いていた。