もちろん俺も
話を聴いてしまったからには
話さんといけん。
「おぉ、いるで。俺も好きな人。」
そうして話出した俺の"恋話"。
2年になってその子のこと気になるようになって
アプローチしてるけど
全然気付いてくれへん鈍感娘。
おまけに好きな人までいる。
そう話していた。
…そう、これはユカリのことや。
名前を伏せて説明すれば
ユカリはこれをすごい信じとって。
いやまぁ嘘ではないんやけどな。
鈍感なユカリは
これが自分のことなんて全く気付いとらん。
「…ねぇ秦山。」
「ん?」
「私、秦山の好きな人分かったかも。」
地元が同じ小林が
2人きりの帰り道で、俺にそう言ってきた。
小林は鋭いからな
きっと気付くやろって思ってたわ。
「…多分それ合ってると思うで。」
「っ…!!」
そう言えば小林は目を見開いて
でもすぐに戻って
前を向いて、やっぱりそうなんだ、と言った。
俺の好きな人を知ってるのは
小林と斎藤だけ。
他は誰も気付いとらん。
その次の日からも
小林の様子が変わった様子はなかった。
俺がユカリと恋話をしていても
知らん顔しながら
そうなんだー、とか呟いてた。
…小林は昔から口固いもんな。
俺はその様子にホッとしながら
ユカリとそれからも同じ生活を送った。
そしたらある日
学校に俺の敵が来た。
「----------。」
小林がチケットなんてあげるから。
そう思ったけど
親友やから責めることもできんくて。
しかもその日のユカリは
俺ですら見違えるほど綺麗に化粧もされてて
正直、めっちゃ嫉妬してた。
(しかもあんな男やったなんて…。)
話に聞いてた通り厳つくはあったけど
長身でモデル体型で
黒髪短髪
ピアスが片方空いてて超絶イケメン。
しかもクソおしゃれ。
なんやあのオーラ。
芸能人か。
でも1番俺が危険を感じたのは
あの濱崎さんの顔や。
(---何やねん、あの表情…!)
あれは遠目で見てる俺でさえも
分かるほど
ユカリに見とれてる
愛おしそうな瞳やった。
髪の毛に触れて
優しく微笑んで立ち上がる。
(……待てや…。)
これ
やばいやつとちゃう?
俺はこの日に
自分の崖っぷちさにやっと気づいた。

