「同棲してんのやろ?
そしたらアプローチ出来まくりとちゃうん?有利やんか。」

「もう…ハタ、私がそんなことできると思う?」

「いーや、全く思わへん。」





朝、いつも通り登校すれば
変わらず私より先に席に座ってるハタ。


---秦山祥一(はたやま しょういち)。

通称ハタ。同じクラスで今は席が前後の仲良しの友達。
小学校まで関西にいたから
今も関西弁が抜けないんだって。






「でもそんなこと言ってたってしゃーないやろ。やらなアカンのやぞむしろ。」

「うっ…そ、そうなんだけどね…。」






私より恋愛経験豊富のハタは
私の恋愛相談の先生としていつも助言してくれる。

というか私がすごい頼ってるだけなんだけどね…。







「相手大学2年でしかもここが母校なんやろ?共通点多いはずやんか。歳も近いし話しやすいやろ。」

「でも濱崎さんは私の事妹みたいに可愛がってくれてるだけだもん…。」

「分からんで〜?もしかしたらユカリみたいに出会ってすぐ惚れてしもうたかもしれへんで?」





一目惚れもありうるで?

なんて言葉を投げかけてくるハタに
私は冗談はやめてよ、と反論する。


ハタはポジティブで前向きな背中の押し方をしてくれる。

でも私は慎重すぎるのか
ハタの言葉を真に受けにくく
いつも行動を起こせないでいた。




(確かに濱崎さんには彼女いないみたいだけど…。)





だからって私が好き、ともならないし
濱崎さんの性格からして気分とか
そういうのが関係してるとしか思えない。

都合良く考えられたら幸せなんだけどなぁ。






「都合良く考えた方が絶対楽しいねんけどなぁ。何でそうネガティブやねん。」

「違ったら怖いもん。ショックで死んじゃうぅ〜…。」

「ビビリやなぁ〜。そないな時は俺が慰めてやるゆーてるやろ?」






ビビリ坂田〜、とハタが私の頬っぺたを両側に引っ張る。

痛いと言えばすぐに離してくれ
私は頬を手でさすった。





ハタみたいな人と付き合ったら
絶対女の子は幸せになるなぁといつも思う。

つくづく友達に恵まれたなぁ…なんて
ふと思ったり。