ある日の放課後。



いつも通り。


そう、

いつも通り、

特に変わったこともなく、

ただわたしがいつもそうしているように、学校が終わるとすぐにカバンの準備をし、真っ直ぐ家路に着いた。



自分部屋に入り、明日の予習をしようと勉強道具を机に広げる。


と、ここで

“いつも通り”

でないことが起こった。


「あれ、数学の教科書がない」


もう一度スクールバックの中を漁るけど、やっぱり見当たらない。


うわ、どうしよう忘れてきちゃったんだ。

明日わたし当たるんだよね。


あ、そうだ!友達に…!


「ってわたし友達いないじゃん!」


…我ながら悲しすぎる独りノリツッコミだと思った。


こういう時友達がいてくれたらどんなに助かっただろうか。


「はぁ…」


もう何度目かもわからないため息をつく。


ため息を着いた分だけ幸せが逃げていくってよく言うけど、わたしはすでに一生分の幸せを逃してしまっていると思う。