きっと、彼の目に私という存在は映っていない。




それ以来彼に話しかけることもそばに行くこともできないでいた。



わたしが持っていないものを全て持っている、日陰のわたしとは正反対の男の子。


逢坂くんはずっと手の届かない憧れの人なんだ。



「楽しそう…」


呟いてからハッと慌てて周りを見渡す。



…。




そして、みんなそれぞれにお喋りをしていて、わたしの方を見ている人がいないことを確認し、ほっ…と息をつく。


よかった。

ただでさえ友達がいない地味子なのにこんな独り言誰かに聞かれたら完全に変な子になっちゃうよ!



わたしは頭を小さく横に振って、もう一度さっきまで読んでいた本に目を戻した。