わたしはスマホをポケットにしまい、ふと教室の真ん中の方を見た。


クラスメイトたちの何人かが集まって、楽しそうに騒いでいる。

まだ新しいはずの制服も、しっかりと着こなしてもう自分のものにしてしまっていた。


中心にいるのは、その中でも一際輝いていて、笑顔が陽の光のように暖かい男の子、
逢坂咲良(おうさかさくら)くん。


彼はいつも笑顔でみんなのことをまとめたり、楽しませたりするのが得意なみんなの人気者なんだ。

見ているこっちまで暖かい気持ちにしてくれる。


彼の周りはいつも笑顔でいっぱいで、わたしがいる場所が日陰だと例えるなら、陽の光のような彼のいる場所は明るい日向。



わたしも彼のいる日向に行ってみたくて、1度だけ勇気を出して、おはようと挨拶をしたことがあるけれど、

日陰の中から出したわたしの声は周りの明るい声にかきけされてしまった。