あ、思い出した。




「わたし、それ、笑い堪えてただけだ」


「笑い?」


「うん。

あのね、逢坂くんの言うとおり、あの本はコメディだったんだ。

そ、それで、あまりに面白かったから、その、笑いそうになっちゃって…」



どれほど変な、怖い顔になっていたのかと想像するとなんだかすごい恥ずかしくなり、

わたしはつい目をそらしながら、尻すぼみになっていく。



「あー確かにあるなそういう事!」


「うん、だからその、

怒ってたとか、

機嫌が悪いとか、

そういう事じゃなくて…」



「おう。大丈夫、わかってる」


逢坂くんは、だから、と続けた。


「今度からはさっきみたいに笑ってろよ。

そうすればイメージも変わるって」