あれ、わたし変な事言ったかな…?
「あ、あの…」
「いや、わりぃわりぃ笑
別に話しかけたのも、笑わせたのも、山科に気を遣ったからじゃねえよ?
ただ、俺が話したいと思って、笑わせてみたいと思ったからしただけ。
別に、気ぃ遣ったわけじゃねえから」
それに、とわたしをしっかり見て逢坂くんは続けた。
「人と話すのが苦手って言ってるけど、ちゃんと話せてんじゃん。」
「え、…あ…。
ほんとだ…」
さっきまでずっとうるさかった心臓の音が静かになってる…。
傘に入れてもらったことへの申し訳なさや、
何か話さないといけないという緊張から焦っていた気持ちが、
逢坂くんのおかげでいつの間にか落ち着いていた。
ちゃんと、逢坂くんと話せてる。
「ふふっ、ほんとだ。話せてる」
なんだかわからないけど、安心したら急に笑いがこみ上げてきた。

