「ふふっ、あはははっ…!」
「あ、笑った」
「え?」
逢坂くんの方を見ると、なんだか安心したように笑顔を浮かべていた。
「え?
あ、やべ。口に出てた?
…いやさ、山科ずっと強張った顔してたからなんか悪いことでもしたかなってちょっと気になってて…。
けど、笑ってくれてよかった。
そっちのほうがいい」
逢坂くんは照れたように目線を逸らし、右手を自分のうなじに回した。
「あ…」
わたし、逢坂くんにそんな気持ちにさせてたんだ…。
顔が強張ってたのはきっと緊張の所為とはいえ、相手に気を遣わせちゃ悪いよね。
…よし。
わたしも、がんばろう。
「あの、お、逢坂くん。
ありがとう。
わ、わたし、緊張してたんだ。
きっと、だから顔が強張っちゃったんだと思う」
目線を逸らさずに、しっかりと逢坂くんの目を見て話す。
「わたし、人見知りで、人と話すのが苦手で、高校に入ってもう3ヶ月も経つのにまだ友達すらいなくて…。
だから、教室で気を遣って話しかけてくれたこと、嬉しかった!
恥ずかしくてすぐに教室から逃げちゃったけど、でも、とってもありがとうって思ったの。
さっき気を遣って笑わせてくれたのも嬉しかったよ!」
逢坂くんは目を丸くしてあっけに取られていた。
そして、ぶっ、と吹き出して肩を震わせながら笑い出した。
「山科、ド直球すぎ(笑」
「へっ?」
「やべーおもしろすぎ、腹いてぇ(笑」
何がツボに入ったのか大爆笑してる逢坂くんを、わたしはわけも分からずに見つめる。

