恋と青春と空模様



こ、こういう時ってなにを話せばいいのかな…。



世間話?


いや、世間話ってそもそもどんな話なの!?

趣味?

いやこれはお見合いみたいか…。

休日の過ごし方?

も、お見合いみたいだし…。



あれ、なんか全部お見合いで聞くことみたいに思えてきたよー!



どうしようどうしようどうしよう。

ここのところ、

家族と、コンビニのお兄さんお姉さんとしか言葉を交わしていないから、何を話せばいいのか全くわからない。



頭がパンクしそうだ。


と、とにかく、何か話さないと…!


「あっ、あの!」


「ん、なに?」



逢坂くんはわたしの声に優しく答えてくれる。

でもやっぱり恥ずかしくて、口籠ってしてしまって…。



「あ、ああの、えっと…」

何か、何か…!



逢坂くんはわたしの返事をこっちを見ながら待っていてくれている。


何か、話を…!






…あ…。




わたし、お礼…傘に入れてもらったお礼、ちゃんと言ってない…。


まずはお礼を言わなきゃ…!


「あのっ…」




わたしは足を止め、逢坂くんの方を向いてお辞儀をした。


「あ、ありがとうございました。その、傘に入れてくれて。

た、助かりました!」



すると、逢坂くんも足を止め、キョトンとしたような顔をしてから、


「どういたしまして」



と、少しイタズラっぽく笑った。