「大瀬さん、独身ですよね? じゃあ問題ないじゃないですか。恋を成就させれば、ルンルン気分でお仕事できますよ。いやあ、いいですよねえー、職場恋愛」
楽しそうに言う、柏葉さんの楽天思考にあんぐりした。
「む、無理ですよ、そんなの……」
「自信ないですか?」
仕事上の悩みを相談する場で、こんな話をして大丈夫なんだろうか。
ぐいぐい尋ねてくる柏葉さんに、戸惑いながらも正直に答えた。
「そんな自信があったら、彼氏できてます」
彼氏いない歴=年齢。
好きな人はそれなりにいたけれど、遠巻きに眺めるだけや、友達として距離を保っているうちに相手に恋人ができて、失恋。というパターンを繰り返してきた。
「じゃあ、僕が手ほどきしてあげるよ」
柏葉さんが言った。
「え?」
「心理学のレッスン、受ける? 心理学を用いれば、チョロいよ。男を落とすのなんて」
不敵に微笑む柏葉さんを思わず凝視した。
自然なのに真っ黒ではない髪色は、緩やかに流れている。トップは長めで襟足はすっきりとしていて、お洒落で清潔感のあるヘアスタイルだ。
細いけれど二重瞼で、少し目尻の下がった瞳は、涼しげで優しげ。鼻はすっとしている。唇は薄めで、口角は上がっている。顎のラインはシャープで、どことなく色気を感じる。
正直いって、かなりのイケメン。