「でしょう? 猫がねこじゃらしにじゃれつくように、揺れるものに飛びかかりたくなっちゃうのが、男の性(さが)ってもんだよ」
優しげな瞳をさらに細めて、柏葉さんが言った。
「手え出してくれる?」
おずおずと手のひらを差し出すと、小さな袋を乗せられた。
お店のレジでお釣りを渡されるときのように、丁寧に。
「プレゼント。開けて見て」
「えっ」
どうした、このサプライズ。
別に今日は誕生日ではないし、クリスマスでもない。
促されるままに袋を開けると、入っていたのはピアスだった。
「この前は強引に柔軟剤買わせちゃったし。次はピアスを買いなさいなんていうと、怪しい売りつけ商法みたいだもんね。だからこれはプレゼント。睦美ちゃんの恋が成就しますように、僕からも願をかけて」
い、イケメンすぎる……!
サプライズ慣れしてなくて、あんぐりしてしまった。
どうリアクションしていいのか分からず、固まってしまう。さらりと下の名前で呼ばれたことは、拾うべきか流すべきか……
「ごめんね、好きなデザインじゃないかもしれないけど……」

