16歳

春も終わりかける頃
高校生生活を一日も送ること無く学校を中退した。
そして隣町のガソリンスタンドでアルバイト始めた。

そしてアルバイトも半年くらい続けて
もうすぐ17歳だという頃

自分が自分で居られなくなる日々が
足音も立てず私に近づき
纏わりついた。

私は出会った男の不倫相手になった。

当初は悲劇ヒロインになりきって
都合いい扱いされても犬みたいな自分に
酔ってたんだと思う。


不倫生活は約二年間続くことになる。


踏み入れた現実逃避はやがて現実になり逃げられなくなってた。

そして17歳になり、家をでてアパートを借りた。
だけど男と暮らしたかったからじゃない。

私が不倫に求めていたのは親の愛だった。
我が儘言えずに生きてきた
我が儘言ったり甘えたりしたかった。
本当の意味で誰かを愛したことって無かったのかな?
愛されたいってそう思ってた。


でも自分だけをみてほしいとは思わなかったの。
始めっから。
傷つきたかった。捨てられて傷付いて泣いて泣いて
被害者を演じてたかった。
何も持たず生まれてきた自分に罰さえ与えたかった。

誰一人として私を必要とした目で見つめてくれなかった。
でも涙も流れなかった。流れるのは涙と呼べない無色の水
感情の乗らないその水を
流せば流すほど心が空になった。


だから涙を流す理由が欲しかったの。
悲しいとか寂しいとかそんな単純な涙を流したかった。


理想は遊ばれることだった。
と、言うより
浮気なんかしても、所詮浮気は浮気で
奥さんや家族を一番に愛する一人の人間を見たかった。

例えば
会いたいと言ったら
子供と遊んであげたいからごめん。
そう言われたかった。


でもやっぱり日頃耳にするニュースやドラマのように
その男は家庭と子供を捨てた。
それが一番ショックだった。
子供が大きくなるまでは
何があっても離婚しない。そんな大人を見たかった。

そんな人がちゃんと居るんだって現実的に感じたかった。

でも
そんな私の独りよがりは叶いませんでした。