それは残暑も遠くに去っていき、肌寒い季節だった。

僕、大久保龍喜は男子卓球部の2年。
身長は低いし眼鏡だしそこまで顔が良いわけでもない。モテるわけない。カノジョなんかできっこない。恋愛なんてするかよ! という心構えで中学に入った訳だが、惚れてしまった。
相手は2年となって同じクラスになった体操部の女の子、長谷田優佳里ちゃん。いつも、仏頂面かしかめっ面してて第一印象は怖かった。
5月頃、僕がプリントを落としてしまった時にたまたま通りかかった優佳里ちゃんが拾ってくれたってことがあった。その時の
「落としましたよ」
という優しい声が耳に残り笑顔が目に焼きついている。

それが、彼女に惚れたということを気づいた。今日。