白と黒のコーヒータイム

「あ~あ…それに合わせて今回は嫉妬も頑張って演じてみたのにな。」

そう口走れば名村は憐れむように目を細めて国見を見つめた。

その表情に国見は居心地が悪くなって届いたばかりのビールに逃げる。

注文しておいて正解だった、自分の行動を褒めながらも名村の反応が気になって居心地が悪い。

目の前から大きなため息が聞こえてきたかと思うと声を低くした名村が尋ねてきた。

「お前の愛読誌は週刊誌か?」

「違うわよ!ファッション雑誌!」

「海外ゴシップ系の?」

「国産20代半ば向けの一般的なファッション誌だっつーの!あんたの光希ちゃんだって読むでしょうが。」

そう言われるなり名村は片眉を上げて視線を宙に逃がす、これはいつもの考えるときのポーズだ。

苛立ちながら枝豆をつまむと名村の唸り声が聞こえてきた。

「…あ~あいつは雑誌買ってねえぞ。」

「うそだ~。」

「インスタ見てる。」

「…オシャレ上級者か。」

わざわざ雑誌を買って流行や着回しを勉強しなくてもオシャレ上級者は他人のコーデ写真だけで実践出来てしまうのだ。

恐るべし恋愛のスペシャリスト。

国見は心の中で称賛と共に苛立ちもあらわにした。

一体光希と自分とでは何が違うのだろう、そんな事を悩みつつ弁明に励むことにする。

「とにかく、普通のファッション誌の後半部分に女子の赤裸々トーク的な特集があんのよ。それを見て、今回は…ちょっと頑張ってみたの!」

今ここにその雑誌があったら突きつけてやりたかったと国見は睨み付けた。