白と黒のコーヒータイム

「だから俺も一人で見てただけ。それぞれの楽しみ方があるしな。」

「なるほど。」

これが大人の対応なのかと感心する。

そうでなくても余裕が感じられるだけで安心感を与えてくれるのだ、その構えはどこから来るのだろう。

考える材料としてコーヒーに同時に口をつけ密かに唸ってみた。

適度に、それこそ許せる範囲は相手に合わせるのもいいものだ。

自分はそれが出来ていたと思っていたが、どうやらやり過ぎていたらしいと反省しか出てこない。

「で?何か気に入ったのか?」

「うん、何作かね。凄いな~って思う絵があった。」

「へえ…国見は芸術に詳しい方?」

興味を示してきた名村に首を傾げて肩を竦めた。

「全く。ただ絵を見たりするのは好きだから、技術的な見方をするんじゃなくて…自分の好みかどうかで見てる感じ。作者には申し訳ないんだけどね。」

「いいんじゃないか?そこは別に。」

「え?」

「大半の人間はそういった感覚で見てる。芸術ってそこまで敷居は高くないだろ。ただ素直に自分の作品を好きって言って貰うだけで人ってのは嬉しくなるもんだよ。きっと。」

「ふーん。 」

まさかそんな意見がもらえるなんて。

そう言ってコーヒーを飲む名村がいつにもまして大人に見えた。

なんて安心感のある雰囲気だろうか。

羨ましくもあり自分が得たいと思う憧れでもある、そう思うのは少しおかしいかもしれない。